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NO.13
思春期の「こころ」

大和内観研修所 真栄城 輝明



 創立百周年を迎える中学校で「地域懇談会」が開かれた。

毎年、夏休みを前に教師がチームを組んで地域へ出向き、保護者との交流を深めようという趣旨で始まった懇談会であったが、いつの頃からか、まるで思春期のこころが親たちに乗り移ったかのように、学校に対する不平、不満、苦情をぶつける会になってしまった。

「ほんとうは校長も廃止にしたいのですが、保護者が承知してくれないのです。」

会場となった公民館へ向かう車中で、今回、スクールカウンセラー(S・C)の同席を熱心に要請してきた教頭が胸の内を証した。そこで、伝統校が部外者で新参のS・Cを出席させたのは、教師とは違う視点に期待したからだ、という。

その懇談会は、保護者の代表が司会を務め、校長の挨拶で始まった。

そして、生徒指導部長から子どもたちの学校での様子や最近の出来事などが報告されて後、十人前後の小グループに分かれた。

その際に、各グループにはベテラン教師が配されて、保護者の質問に答えた。

「うちの子が中学に入った途端、親に口をきかなくなった」というような悩みはまだよい。

「他のクラスは席替えをよくやるのにうちのクラスがないのはどうして?」のような、本来クラス懇談会で問うべき発言が出ても、教師は驚かず、受け答えに窮することはまずない。あるいは、「野球部の朝練が近々なくなると聞いたのですが、本当ですか?」などという質問を部活の顧問ではない教師が受けたとしても、ちゃんと応えてしまうのは、職員会議のお陰である。学年別会議の他に各部会のそれがあり、さらには、全体の職員会議が教師間の連絡を密にしているからである。

ところが、職員会議で得た情報や資料で答えられるような質問だけならよいが、小グループの場で即答できない難問・奇問が出てくることがあって、それについては休憩を挟んで全体の懇談会に持ち越すことにしてある。束の間ではあるが、休憩は教師にとって必要であった。

というのは、休憩時間は全体会に備えての打ち合わせの時間になっていたからである。

グループ懇談の際に、S・Cは校長や教頭らと共に、各グループを巡回するように言われ、全体会では、応答者の席に着いていなければならない。質疑に備えてのことである。

「どうして今どき茶髪やルーズソックスがいけないんですか?」と質問したのは、自らも茶髪で厚化粧の母親であった。それには生徒指導部長が校則を持ち出して、その手の質問には慣れているらしく、そつなく答えて一件落着かに見えたが、「身だしなみは大切です」と話した言葉尻を掴まれ、別の母親から反撃がきた。

「生徒の身だしなみを言うなら、先生はどうなんですか?息子が女先生のスカートが短すぎて、気が散って勉強できない、と言っています。教頭先生、注意してください」ときた。そこへ茶髪の母親が間髪容れずに「そうだ!」と声を張り上げて、会場がざわついた。この時世に、たとえ上司であっても、部下のスカートの長短に口を出せば、セクハラである。

困惑している教頭に代わってS・Cが話しを引き取った。

そして、開口一番「お母さん、おめでとうございます!」と大袈裟に笑顔を作った。

相手はまるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。

「思春期は性に目覚める時期。女の子に初潮が来るように、息子さんにもそれが来たようですよ。女先生のスカートだけでなく、街を歩く女性のスカートが気になって仕方がないはずです。」とはなしを思春期のこころ、とりわけ性の問題にフォーカスして答えたところ、鳩だけでなく、教頭の顔にも安堵の笑みがこぼれた。



(本文は、やすら樹82号・シリーズ【内観をめぐるはなし】第39回より転載しました。)

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