ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

沖縄のオバァ
                     
 真栄城輝明(大和内観研修所)

 
編集者より「沖縄の老人について紹介してほしい」という依頼があった。すぐに頭に浮かんだのはオバァの姿であった。「尾張名古屋は城で持つ」というが、沖縄にも城は多い。 
ところが、沖縄の城は、名古屋のそれとちがって城(グスク)と呼んで、神が降りた場所、すなわち聖地のことを指している。沖縄の姓によくある城はシロではなくてグスクという意味なのである。そして、まさにオバァは沖縄の城(ぐすく)主(ぬーし)なのだ。ふつう女性が年を重ねるといつしか自然に「おばあさん」と呼ばれる老女になっていく。
けれども、オバァは単なる老女とは違う。オバァと呼ばれるからにはそれなりの風格が備わっていなければならないからである。風格の二、三を紹介するとつぎのようである。
たとえば、時代の流れで沖縄にも核家族は増えているが、お墓だけは今でも門中(もんちゅう)が集まるところになっている。清明祭などの門中の集まりを取り仕切っているのがオバァなのである。男たちはオバァの指揮の下に集まり、オバァに言われたとおりにご先祖様に手を合わせ、後は車座になって酒を飲み歓談するだけである。また、各家庭においては仏壇を守り、先祖供養の一切を引き受けるのが女たちの役割であるが、さしずめオバァはその総指揮官としてご先祖様へ語りかける役目を担う。
そのほか、子や孫たちの縁談、進学、引越しなどで迷ったらユタに相談して決めることが慣わしとなっているが、どこのどのユタに相談するのかといった事から始まって、細部を決めて動くのはオバァであり、男たちは黙ってただただそれに従うのみである。
そういうわけなので、このような事態を子どもの頃からみてきた筆者としては、それを「オバァ力(りょく)」と称したいほどである。さらに言えば、沖縄のオバァには予知能力さえ備わっている。たとえば、家族のだれそれのことを夢に見て、直接電話をしてくることがある。
「あんた、元気がないようだったけど、何かあったんじゃないの」と夢のお告げにしたがって助言をしてくれることもある。そして、たいていオバァの予知したとおりになることが多いので、家族たちがオバァへ寄せる信頼は絶大なものがある。オバァは一家のカウンセラーと言ってもよいだろう。そして、オバァは情け深い。困っているひとがいると放ってはおけないのである。相互扶助の精神が旺盛で自助グループが活発である。下書きの原稿には具体例を紹介したのだが、本文には紙幅の都合で割愛せざるを得なかった。



【本文は「老いを生きる、老いに学ぶこころ」(創元社)より抜粋し、転載させてもらいました。】

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

カテゴリー

プロフィール

大和内観研修所

Author:大和内観研修所
FC2ブログへようこそ!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。