-研修生の視点から-
○酒井ゆり子1) 真栄城輝明2)
1)公立中学校教諭 2)大和内観研修所
Ⅰ、はじめに
心の時代になって、公立中学校の教員である演者にも教育相談の担当が廻ってきた。心の問題について特別の研修を受けたわけでもなかったので、不安を持ちながらのスタートであった。そこで、共同研究者の主催する事例研究会や個人スーパーヴィジョンを通して、なんとか与えられた教育相談業務をこなしてきたつもりであるが、あるとき、困難な事例を担当して暗礁に乗り上げてしまった。自分自身を立て直すために集中内観を受けた。今回は、4度目の集中内観であったが、共同研究者の元で、内観面接者としての研修を受ける機会があった。演者にとって、面接者となるのは初めての経験であった。そこで、いくつかの気づきを得たので一般演題として報告しようと思い立った。
Ⅱ、目的
内観の場合、内観者としての研修は頻繁におこなわれているが、面接者としての研修の機会は少ないように思われる。今回、教育相談担当者(面接者)としての資質向上のために面接者研修を受ける機会があったのでまとめてみることにした。
Ⅲ、方法
集中内観と並行して、面接者としての研修を受けた。研修の方法は1日に2回、指導者の面接に同行させてもらった。初回は、指導者の面接を傍らで聴かせてもらった。その次は、指導者が傍らで見守る中で面接を担当させて貰った。面接を担当する前に合掌の仕方とお辞儀の仕方を練習したが、それが意外に難しかった。作法が身に付いて自然な面接が出来るまでには、指導者の助言が必要であった。また、面接中に内観者から質問が発せられて、それに答えられない事態となったことがある。そのときに傍らの指導者が答えてくれて助かった。さらに面接後のスーパーヴィジョンが有意義であった。
Ⅳ、結果と考察
紙幅の都合で、詳細は当日報告することにして、ここではごく簡単に述べておく。
1,内観者の時は、面接者の影響をそれほど感じなかったが、実際に面接してみると、言葉以外の体の動きまでもが内観者に影響を与えていることがよくわかった。
2,内観に型があるお陰で、面接者として助けられていることを強く感じた。
3,内観者と面接者が接するのはほんの数分のことであるが、それだけにいろいろな要素が凝縮しており、あとの内観や面接にも変化が出ていくのを実感した。
4,内観における面接者の重要性を感じた。
参考文献
竹中哲子:内観面接における教育研修の方法―研修生としての体験からー、第28回日本内観学会大会抄録集、p37 2004.
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