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内観をめぐるはなし(やすら樹)

シリーズ【内観をめぐるはなし】第60回

「文化差」談義
        
     大和内観研修所 真栄城 輝明



 どういうわけか、最近、国際学会や国際シンポジウムがアジアを舞台にして頻繁に開催されるようになった。そのことと関係するのかどうか、東洋文化が生んだ心理療法を代表して、日本からは森田療法とともに内観療法が国際学会から招かれる機会が増えてきたようだ。
 たとえば、昨年は八月の東京に継いで、九月の北京、10月のソウル、12月の上海で内観療法がシンポジウムに登壇している。
今年は4月の鎌倉のあと、5月の上海ではシンポジウムだけでなく、精神分析や行動療法と並んで、ワークショップの時間まで与えられた。 
さて、各セッションはもとより、ティータイムで外国の専門家と懇談しているとどうしてもお互いの文化差が話題になる。

アメリカ 「日本ではいじめられると自殺するといいますが、本当ですか?」

日本 「その通りです。とくに日本では周囲から無視されるとき、ダメージが大きくなります。ところで、アメリカはどうですか?」

アメリカ 「アメリカでは、いじめられると自殺ではなく、銃を持って相手を殺しますね」
コーヒーカップを銃に見立てて、ゼスチャーを交えながらアメリカの精神科医が話していると、初老のドイツ人教授が割り込んできた。

ドイツ 「以前、日独両国のうつ病患者を通して両国間の罪の意識のもちかたについて研究した論文を読んだことがあります。それによるとドイツ人は自分に課せられた義務や責任を果たせないとき、罪の意識を持ちやすいが、日本人は相手の期待に添えないとき、罪の意識が強くなるとありました。そうですか?」

日本 「たしかにそれはありますね。一九六四年に東京オリンピックが開催されましたが、マラソンで第三位になって日本の国立競技場に初めて日の丸を揚げた円谷幸吉選手は、一九六八年のメキシコ大会に出場する予定でしたが、その年、カミソリで頸動脈を切って自殺しました。遺書には、 “父上様、母上様、幸吉はもうすっかり疲れ切って走れません”と書かれてあったそうです。日本中の期待が重荷に感じられたのでしょう。ところで、中国人はどうですか?」
どこまでも人間関係を重視する日本人は、今大会のホスト役への気遣いを忘れなかった。

中国 「中国人は日本人とは逆に、相手が自分を理解してくれないと思ったとき、ノイローゼになるケースが多いですね」
 中国人の言葉に、胸をなで下ろしている日本人に話題を戻してきたのは、ドイツの教授だ。

ドイツ 「さっきの話は、対人恐怖症が特に日本人に多いことと関係ありそうですね」

日本 「おっしゃる通りだと思います。ご存知のように、対人恐怖症というのは、家族や親戚などごく親しい間柄にある人たちの前では症状(赤面や視線および醜貌恐怖など)は出現しにくいだけでなく、自分とまったく関係のない不特定多数の通行人の前でもほとんど症状は出てきません。症状が一番出やすいのは、学校や職場、通学や通勤の乗り物の中、近所のスーパーマーケット、町内会などなんとなく顔見知りだが個人的にはそれほど親密ではない人たちの前に出て行くときです。他人に自分がどう見られるか、それが気になって症状が出てくるのです」
話の途中にアメリカの精神科医が口を挟んだ。

アメリカ 「内観療法が人間関係に焦点を当てた三つの質問を備えている理由が分かりました。自己の存在を神との垂直軸でみる西欧文化とちがって、人と人のあいだを重視する日本文化から生まれたことは自然なことです」
流石にロゴスの国の人は、論理が明快だった。
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